宵を告げる鳥に導かれて茜から深い紺へと変わりゆく狭間時、低く世に光を射す茜色の太陽は、僕の顔をも茜色に染め上げ、真後ろには長く延ばした黒を描き出した。
かの陽に背を向ける人物の面もまた塗り潰された黒を長々と延ばし、ただ、縁だけがゆらゆらと彩りの欠片を残している。
靡く縁は茜色をしていなかった。背後の陽射しを受け、それもまた同じく、しかしずっと高らかな金色で、僕に、僕の目に、光を射していたからだ。
彼女は動かない。僕は、動けない。
相手にはこちらの顔が見えている、という不公平感をなんとなしに不満げに、しかしどことない愉快さを味わいながら、じ、と未だ金の縁取りが踊る影を見つめていた。
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